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イライラしても、子どもに怒りをぶつけないために【きかせて、子そだて】

ついイライラして子どもに怒鳴ったり手を上げてしまう、「しつけのためだから」と自分を納得させている…そんなことはないでしょうか。児童虐待防止と家族の笑顔を増やすため、「感情的にならない子育て」を全国に広げている高祖さんにお話を聞きました。

体罰や暴言は子どもの脳に 深刻な影響を与えます

大人同士なら誰かが止めに入ったり、警察を呼んだりするような体罰や暴言でも、子ども相手では「しつけのため」と見過ごされてきた日本の文化があります。

しかし、私も作成協力し、厚生労働省から2017年に頒布された「愛の鞭ゼロ作戦」のリーフレットには、「幼少期の激しい体罰により、脳の前頭前野が萎縮し、暴言によって聴覚野が変形する」という研究データが記載されています。体罰や暴言は子どもの脳にも深刻な影響を与えるのです。

叩かれることが多いのは、やはり言葉で言ってもまだ通じない乳幼児。でも、大人と乳幼児では体格は3倍近く違います。もしあなたが、3倍もある巨人に叩かれそうになったら?怖くて身も心もキュッと縮んでしまいますよね。子どもも、怖くて「この先のもっと怖いことや痛いこと」を想像しないようにします。そうやって感情や想像力を押し殺すうち、脳のダメージが進んでしまうのです。

何気なく頭をかいたら、 サッと頭をかばった子ども

というと、もし子どもを叩いたことがあったら、心配になってしまいますよね。でも、脳は回復します。今日から「叩く」「怒鳴る」をやめれば大丈夫。できれば、子どもに「叩かない宣言」をしましょう。

こんな話を聞きました。何度か子どもに手を上げたことがあった、あるお父さん。リビングで寛ぎながら何気なく頭をかいた時、子どもがサッと頭をかばったのです。叩いた回数はわずかでも、子どもは毎日「叩かれるかも」と思いながら暮らしていたんですね。

そんな時は、「もう叩かないって決めたんだ、今までごめんね」と、「叩かない宣言」をすれば、子どももホッとします。安心した親子関係をつくっていきましょう。

そこそこ楽しく、 そこそこ笑顔で暮らそう

子育てをしていると、「なんでわかってくれないの」と感情的になってしまうことはあります。怒りを感じるのは人間の本能。でも、その怒りを目の前の子どもにぶつけないこと。ピキッときたら、数を数えたり、お皿を洗う、その場を離れるなど、自分に合った方法で怒りをいなしましょう。

そして、少し落ち着いたら「そもそもなぜ怒りを感じるのか」を考えてみましょう。「保育園から帰って忙しい中がんばってつくったご飯を子どもが遊んで食べてくれない」なら、冷凍食品を活用して調理を手抜きしたり、ママにばかり家事が偏っていたら分担を話し合ってみるのもいいでしょう。

私は1人目の子を先天性の心臓疾患で亡くしています。せっかく生まれた命、がんばって育てていたのに、暴力が親子間を加害者と被害者に分けてしまうのは悲しいこと。「ずっと笑顔の家族」なんてありえないし、イライラすることはあるでしょう。でも、そこそこ楽しく、そこそこ笑顔で暮らせるように、家族で困っていることは共有し、声かけの仕方を工夫していけるよう心がけてみましょう。

 

高祖 常子さん

子育てアドバイザー。NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事マザーリングプロジェクトリーダーなど多数。厚生労働省「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」メンバー。育児情報誌「miku」元編集長。3児の母。最新刊は『男の子に「厳しいしつけ」は必要ありません!どならない、たたかない!で才能はぐんぐん伸びる』(KADOKAWA)。

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