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グルテンフリーを選ぶべき?【コドモカルテ】

グルテンが健康に影響があるのはセリアック病がある人のみ

私はホームベーカリーでパンをつくるのが好きなのですが、夏の暑さのせいか、パンが膨らまないことがありました。困って検索してみると、「グルテンフリーの食パン」のレシピを見つけました。皆さんも「グルテンフリー」と書かれた食品を、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?  グルテンとは、麦などに含まれるタンパク質の一種です。

「グルテンフリー」の食事法は、海外のスポーツ選手やセレブが実践していたことで話題になりました。日本でも、「健康になる」「美容にいい」「ダイエット効果がある」などといったイメージが広まり、「グルテンフリー」と表示された食品も多く販売されています。

では、グルテンは、本当に健康に良くないのでしょうか?

グルテンが健康に悪影響を及ぼすのは、その人が「セリアック病」だった場合のみです。セリアック病は、グルテンを食べると腸に炎症が起きるという遺伝病ですが、日本では極めてまれな病気であり、私は1人も出会ったことがありません。

小麦アレルギーなら「グルテンフリー」の食品も食べられない

中には、「もしかしたら子どもが小麦アレルギーかもしれない」という理由で、グルテンフリーを選んでいる保護者もいます。しかし、本当に小麦アレルギーだとしたら、たとえグルテンフリーであっても小麦を摂ったら症状が出るでしょう。

「グルテンを絶ったらだるさが改善した」「肌荒れが良くなった」という体験談をインターネットで目にすることがありますが、セリアック病でも小麦アレルギーでもないなら、それは気のせいでしょう。病気やアレルギーがないなら、小麦やグルテンを食べても何も起こりません。逆に避けたからといって、体調が良くなることもないですし、ダイエット効果もありません。わざわざグルテンフリーの商品を選ぶ必要はありません。

食品以外にも多い、「◯◯フリー」の商品

食品以外にも「◯◯フリー」の商品は多くあります。そういった商品を選ぶべきでしょうか?ひとつずつ見ていきましょう。

〈アルコールフリー〉
子どもの肌を拭く製品にアルコールが入っていると、肌が荒れることがあります。肌や年齢に合わせて、「アルコールフリー」を選ぶといいでしょう。

〈ディートフリー〉
ディートとは、虫よけ剤として使われる物質です。ディートは生後6カ月から使えるので、6カ月未満の子には「ディートフリー」の虫よけを選んでください。ただし、生後6カ月以上なら、効果が確かでないハーブやアロマを使った商品よりも、ディートや同じく虫よけ成分のイカリジンが入った商品のほうがいいでしょう。

〈ケミカルフリー〉
日焼け止めにおいては、紫外線吸収剤をケミカルと呼びます。日焼け止めクリームなどで肌がかぶれる子どもには、「ケミカルフリー」を選ぶといいでしょう。

ただし、「ケミカルフリー」は、「天然成分を使った商品」といった、曖昧な定義で使われることもあります。この場合、植物で肌がかぶれるように、天然成分なら体にいいとは限りません。

特に体に悪影響を及ぼすものでないのなら、過度に何らかの成分を避ける必要はありません。「◯◯フリー」ならとにかくいい、というわけではないのです。

森戸 やすみさん

小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、どうかん山こどもクリニックを開業。著書は「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」等多数。

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