海外のママはどんな子育てをしているのかな?と気になることはありませんか?
今回お話を伺ったのは、フィンランドに生まれ、幼少期を日本で過ごした坂根シルックさん。20代のときに再来日し、就職、結婚。働きながら2人の子どもを育てました。
子育ての一時期をフィンランドで生活し、2つの国の子育てを経験したシルックさんの子育てとは、どんなものだったのでしょうか?今回はその前編をお届けします。
坂根シルックさん
国立大学法人東京農工大学特任准教授。文化人タレント。28歳の息子と22歳の娘のママ。フィンランドのヘルシンキ生まれ。3歳で初来日、幼少期を大分県で過ごす。1985年に再来日し、在日フィンランド企業やフィンランド政府機関に勤務しながら2人の子どもを育てる。子育て・働き方・男女平等参画、自分らしい生き方などをテーマに全国で講演活動やメディアでの発信も行う。
twitter :@Sirkku_Finland (シルック フィンランド)
Facebook : シルック フィンランド
シルックさんのママライフについて、お聞かせください
息子を生後9ヵ月で保育園に預けて、それからはフルタイムで働きながら子育てをしました。目まぐるしい日々でしたが、仕事と子育ては気持ちを切り替えるようにしていましたね。
子どもを保育園に預けたら、仕事スイッチをオンにして仕事に集中。職場を出たら、また母親スイッチに切りかえるんです。保育園に息子を迎えに行く道中は「もうすぐ息子に会える♪」と、デートに行くみたいにルンルンでしたよ(笑)。夜は仕事のことは忘れて、子どもとの時間を大切にしました。
フィンランドでは子どもの頃から、遊ぶときは思いきり遊び、勉強の時は集中するように育てられます。オンとオフのめりはりをつける習慣が身についていたので、それが子育てにも役立ったかなと思います。
…とはいえ、お昼休みに外で赤ちゃんを見かけて「私の赤ちゃんはどうしているかな」と気持ちが緩んだり、
職場で電話が鳴ると「保育園からかも」とびくびくしたり、完璧に切り替えられたわけではないです。やっぱり母親ですから(笑)。
大忙しの毎日、どう乗り超えましたか?
家事は夫とシェアしていたので、そこは助かりました。夫婦で家事を上手にシェアするには、「お皿洗ってくれる?」とお願いするのではなく「お皿を洗うのと洗濯、どっちがいい?」と相手に選んでもらうのがコツですよ(笑)。
あとは、どんなに忙しくても欠かさなかったのは、自分だけの時間を持つことです。毎週土曜の午前は夫に子どもをまかせて、私は一人、プールでリフレッシュするのを習慣にしていました。
その時間は、仕事も子どものことも忘れて、自分のことだけを考えるんです。すごーい開放感ですよ(笑)。私が元気になってニコニコで帰ってくるから、子どももハッピーなんです。
時間も余裕もないお母さんだからこそ、敢えて「こんなことしている場合じゃないんだけどな」ということを自分に許しちゃうんです。子どもを預けてカフェで1時間お茶をするとか、好きな音楽を聴くとか、どんなことでもいいんですよ。
お母さんが「100%私だけの時間」を持つことは、子どもと元気に向き合うためにも大切だと思います。
日本で子育てをして、良かったことはありますか?
保育園で、助け合えるお母さん仲間と出会えたことです。何しろ、フィンランドならどんな立場の人も定時退社が当たり前で、子どもが病気なら在宅勤務も可能ですが、日本ではそうはいきません。小さい子どもがいても毎日通勤しなければいけないし、定時に仕事が終わらないこともあります。
そんな中で働きながら子育てをする者同士、彼女たちとは困ったときはお互いさまで、お迎えが間に合わないときは一緒にお願いしたり、ついでにご飯も食べさせてお風呂にも入れてくれたり。彼女たちがいなければ、子育ては乗り切れなかったと思うほど。今でも、当時の仲間やその子どもたちとは家族のような仲で、娘のお友だちと、娘ぬきで飲みに行くこともありますよ(笑)。
フィンランドでは、子育てしやすい環境が整っていて周囲と助け合う必要がないこともあり、親同士の交流はほとんどありません。日本のように「〇〇ちゃんのお母さん」と子どもの親の顔まで見えて、子どもを通して親ともつながれるのは、私は素敵なことだなと思います。