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「これが好き」と思える幸せ 子どもの「好き」を認めてあげて【きかせて、子そだて】

「虫が好き」「電車が好き」「ブロックが好き」…子どもたちはみんな、何かが大好き。好きなことを仕事にしたい子どもたちを親として導くには?「キリンが好き」という気持ちを持ち続けてキリン研究者になった郡司芽久さんにお話を聞きました。

キリンが好きだから、キリンの研究者になりました

子どもの頃からキリンが好きでした。3歳頃に動物園に連れて行ってもらった時は、キリン舎の前からしばらく動かなかったそうです。でも、高校生までは動物園や海外の国立公園で働く獣医さんになりたいと思っていました。

転機は18歳の春。大学主催のシンポジウムで、心から楽しそうに研究を語る研究者の話を聞き、「この先40年以上も人生を仕事に費やすのなら、こんな風に楽しんで仕事をしたいな」と思ったのです。そして、「そうだ、私はキリンの研究者になろう」と一念発起。大学内外の先生たちに「キリンの研究がしたいんです」と話を聞いて回り、「キリンの解剖ならできるよ」と言ってもらえた先生の研究室でキリンの解剖に邁進し、研究を続けてきました。

「勉強しなさい」と言われたことはないけれど

私の母はちょっと変わった人で、「勉強しなさい」と言われたことは一切ないんです。私は小学校の頃は勉強が楽しいと思えず、授業中も寝たり、宿題もやらなかったりしたけれど、母は三者面談でも「困るのは自分ですから」。先生も困ったと思いますが(笑)。

母は専業主婦だったのですが、私が中学校の頃、お香づくりに夢中になって専門書を読み漁り、今ではお香の講師をしています。小学生の頃は子育てしている姿しか知らなかった母が、楽しく知識を身につけている様子に、私も刺激を受けましたね。

「勉強って面白いな」と気づいたのは、中学2年生の夏からです。大人が楽しむ姿を見せると、子どもって真似したがるものだと思うんですよ。

「好きを仕事に」は難しくない努力を続ければ道は広がる

「子どもが古生物学者になりたがっている」「生物学者になりたいと…」といった親御さんから、よく相談を受けます。子どもの頃は「恐竜が好きだから、古生物学者!」と、道はひとつだと考えてしまいますよね。私自身も「動物が好きだから獣医か研究者!」と思っていました。でも今なら、動物の餌をつくる仕事や動物園の広報など、動物に携わる仕事は多彩にあるとわかります。「好きなことを仕事にする」のは簡単ではないけど、難しいことでもないんです。幼少期は「この子、これしか好きじゃないんですが…」という相談が、中高生になると「この子、無気力で何も好きじゃなくて…」に変わります。「これが好き」と思えるのは幸せなことですよ。

研究者になりたい子どもには、「学校の勉強と家のお手伝いをがんばろう」と伝えています。まずはいろんなことを知っておいた方がいいし、文献を読むためには、漢字も英語も大切です。そして、生物の研究にはフィールドワークも。「1カ月化石を掘り続ける」となったら、料理や洗濯ができないと困りますから。何かが好きな子どもたちには、好きな気持ちを認めた上で、「これも必要だよ」と話してあげてくださいね。

 

  


キリン解剖記
キリン研究者を目指す郡司芽久さんが、多くの人とキリンたちに支えられながら、
念願のキリン博士になるまでの10年間の探求の日々。
あるはずのなかった8番目の”首の骨”を探し求める過程もつぶさにまとめられています。
著:郡司芽久、出版社:ナツメ社

郡司 芽久さん

1989年生まれ。2017年3月に東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程を修了。2020年4月より、筑波大学システム情報系研究員。農学博士。第7回日本学術振興会育志賞を受賞。

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