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活動する?やめておく? 自分で決めよう、P T A 。【子どもと向きあう】

もうすぐ新入学のご家族、おめでとうございます。でも、「入学で不安なことは?」と質問してみると、保護者から多く聞こえてくるのが「PTAが心配」の声。そこで、気になる「PTAとの向きあい方」について、PTAジャーナリストの大塚玲子さんに伺いました。

大塚 玲子さん
PTAジャーナリスト、ライター。主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA」。編集プロダクションや出版社に勤めたのちフリーとなり、書籍やムックの企画編集、執筆等に携わる。著書は『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『PTAがやっぱりコワい人のための本』ほか。高校生の子どもがいる。

そんなに怖くないPTA

「PTAは怖い」「大変だ」そんな声が巷に溢れています。これから入学を迎える保護者の皆さんが、PTAに対して不安な思いを持つのも無理からぬことでしょう。でも、実際にPTAで活動してみると、「そんなに怖がらなくてもよかった」「意外と楽しかった」という方も多いのです。あるアンケートによると、6割以上の方が「やってみると、思ったよりもいい印象だった」と回答しています。

実は私もそのクチ。PTA活動を通して知りあいが増えたことは良かったと思っていますし、「PTAがなかったら出会ってなかっただろう」という面白い方々と知りあえたことも事実です。

実際の仕事量も、本部役員だとかなりの量になりますが、クラス役員程度ならそれほどでもありません。まずは「そこまで恐れないで」とお伝えしたいですね。

広まってきた「入退会自由」

では、なぜこんなにPTAは怖がられてしまうのでしょう?

中には「最近メディアが問題として取り上げるから」という人もいます。でも、PTAが保護者の悩みのタネになったのは、けっして最近のことではありません。私が子どもだった30〜40年前から既に、役員決めとなれば、みんな下を向いて黙り込むのが定番だったそう。当時の新聞記事や書籍を見ても、現在とあまり変わらないPTAへの嘆きが見られます。

ただ、最近になって子どもの数が減り、保護者の数も減りました。また、外で働く母親が増え、かつてのPTAの主力だった専業主婦も減りました。それで1人あたりの負担感が増していることはありえます。

しかし、最大の理由は「強制」だと思います。PTAは本来、入退会自由な団体であり、本人の意思で参加するもの。なのに現実は、子どもが学校に入ると、保護者は意思を問われることなく自動的にPTA会員として扱われます。そして、役員を引き受ける人が見つからない時は、くじ引きや「まだやっていない人を探す」などで、誰かにやらせることになります。自分の意思を尊重してくれず、「入りたいか入りたくないか」も「活動したいかしたくないか」も尋ねずに、活動を押し付けてくる相手を、好きになるのはちょっと難しいですよね。

「できそう」と思ったら役員をやるのも面白い

これからPTAに直面する皆さんにお願いしたいことは、「自分で選んで決める」ということ。やらされてやるのだと、どうしたって楽しくないですよね。

自分で「活動する」と決めたのなら、きっと活動を楽しめるでしょうし、「もっと楽しくするには・ラクにするにはどうしたらいいかな?」と考えて工夫することもできます。「できそう」と思ったら、手を挙げて役員にチャレンジしてみても面白いでしょう。

でも、中には事情がある方もいます。年下の子の子育てや介護などで余裕がなかったり、現在のPTAに疑問を持ち、参加したくない方もいます。もし「やらない」と決めたら、役を引き受けない、もしくは退会するのも大事な判断だと思います。「役を引き受けない」場合、事情を話したくなければ話す必要はありません。役員決めの場を欠席したっていいと思いますし、事前に学校へ「役はやりません」と伝えておくのも一つの手ですね。

自分で「PTAをやる」と決めて活動したつもりでも、役をやらない人や退会した人に対して「ズルい」と思ってしまったら要注意。

もし「ズルい」と思ってしまったら、自分にも「やりたくない」という気持ちがある、ということ。つまり、本当は「活動する」と自分で決めていないのです。

私にも経験があります。保育園である係をやった際、やらない人を見て愚痴を言ってしまいました。自分で手を挙げたのに、半ば義務感だったんでしょうね。今はPTAの取材にも役立ちますし(笑)、自分で決めて活動しています。

ぜひ「ノーと言える勇気」を持って、自分自身でどうするか選んでみてくださいね。

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