ママはつい、子どもに怒り過ぎて「また怒っちゃった」「あんな怒り方しなければよかったな…」と落ちこんでしまいますよね。怒りを上手にコントロールするにはどうすればいいのでしょうか? 日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実さんにお話をうかがいました。その後編をお届けします。(前編はこちら)
戸田 久実(とだ くみ)さん
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事。大学卒業後、民間企業にて営業、社長秘書として勤務。現在は研修講師として民間企業、官公庁において、新入社員から管理職までを対象に「アンガーマネジメント」「クレーム対応」「プレゼンテーション」「女性リーダー育成」などの研修や講演を行う。
怒りを上手に扱うには、どうすればいいでしょうか?
まずは、怒りの原因となる自分の「べき」を把握しましょう。自分がどんなことを大切にしているのかを把握していれば、怒りを感じても「自分は今、〇〇すべき、が守られなくてイラッとしているんだな」と冷静に受けとめられるし、相手にも「こうしてほしい」と伝えやすくなります。
一定期間、自分がどんな時に怒りを感じるかを記録してみると、自分の「べき」がわかってきますよ。ぜひ試してみてくださいね。
相手に伝える時のポイントはありますか?
一つは、子どもに伝わりやすい言葉で伝えることです。ママはよく「もー!」などと意味のない言葉で怒ることがありますが、それでは何がいけないのか、子どもはわかりません。「きちんと」「しっかり」なども、抽象的でわかりにくいですね。
「遊び終わったら、その場でおもちゃを片付けようね。片付けないと、なくしちゃうから」と、何をどうしてほしいのかを明確に、具体的に言葉にして伝えましょう。
また、気分によって「怒る・怒らない」の基準が変わると、子どもは混乱するし、人の顔色ばかりを窺うようになってしまいます。たとえば「遊び終わったおもちゃは片付けるべき」であれば、遊び終わってすぐに片付けたらOK、「片付けなさい」と1回言って片付けたら許容範囲、それでも片付けなければ怒る、というように、どんな時に怒るかの基準をはっきりとさせて、子どもと共有しておきましょう。
時にはママも「ママね、体が疲れちゃってしんどいんだ」「〇〇ちゃんにそんなこと言われたら、ママ、悲しいな」と、自分の気持ちを素直に伝えるのもいいと思いますよ。
カッとして怒りにのまれそうになったら?
すぐにできる対処法として、数を逆算して数える「カウントバック」や、その場を離れて気持ちをリセットさせる「タイムアウト」などがあります。
「カウントバック」は、たとえば100から3ずつ引いて数えるというように、頭を他のことに使うことで怒りから意識をそらせる方法です。
「タイムアウト」はスポーツのタイムと同じで、いったん、その場を離れ、ストレッチや深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから、やりとりを再開させます。その場を離れるときに黙っていなくなってしまうと、子どもは「置いていかれた」と感じてしまいます。たとえば「ママ、トイレに行ってくるね。すぐに戻ってくるからね」と伝えるのを忘れないでくださいね。
それでもやっぱり、ついカッとなってしまいそうです…
怒りを上手に扱えるようになるにはトレーニングが必要で、今日明日に身につくものではありません。「やってみたけどダメだった」などと、すぐにあきらめることはないんですよ。
ママが怒りを上手に扱えるようになると、子どもも「こんな風に伝えればいいんだな」と自分の気持ちを上手に表現できるようになります。できることから少しずつ、取り組んでみてほしいなと思います。
ママへのエールをお願いします
日々、たくさんのママから相談を受ける中で思うのは、みなさん、良いママになろうと一生懸命なんだなということ。ママが子どもに怒るのは、母親としての責任感もあるんですよね。ママは、自分に対しても「こうあるべき」をたくさん持ち過ぎているのかもしれません。
あまりがんばりすぎないで、親子でハッピーに過ごせたら、それでOK。良いママにならなくても、幸せなママになってもらえたらなと思います。
もっとアンガーマネジメントを知りたい方におすすめ
『いつも怒っている人も うまく怒れない人も
図解アンガーマネジメント』
(著:戸田久実 監修:安藤俊介/発行:かんき出版)
誰でも無理なくアンガーマネジメントに取り組むために解説した本。ひと目でポイントがわかるように、図やイラストでわかりやすくまとめられています。「本を読むのが苦手」「時間がない」ママにもおすすめ!