おかしいな、と感じたら、子どもの気持ちとしっかり向きあってみましょう
希望と不安で胸いっぱいの新生活。
慣れない環境で不安定になりがちな子どもたちに、親はどのように対応すればいいのでしょうか?
育児・教育ジャーナリストの おおた としまさ さんにお話を伺います。
子どもが新しい環境に対応していけるか心配です
子どもは環境が変わってストレスを感じると、園に行きたがらなかったり、「○○ちゃんのことキライ」と言ったり、何らかの形で不調を訴えることがあります。
そんな時、親はついイラッとして「なんでそんなこと言うの!」と頭ごなしに怒ってしまいがち。そこをぐっとこらえて、ひと呼吸おき、「この子はなぜ、こんなことを言うんだろう?」と考えてみてほしいのです。
子どもは、感情や状況を言葉でうまく説明することができません。問題行動は、言葉にならない子どものSOSです。行動を怒るのではなく、背景に何があるのかを知ることが大切です。
それにはまず「どうして、そんなことを言うのかな?」と、子どもの気持ちに耳を傾けてみましょう。「そうか、だから今はこういう気持ちなんだね?」と親が受け入れることで、子どもの不安や葛藤は解けていきます。また、気持ちを人に伝えるには、相手と言葉のやり取りを重ねていけばいいのだとわかるようになります。
おかしいな、と感じたら、ちょっと立ち止まって、子どもの気持ちとしっかり向きあってみてください。
育て方が間違っていないか、不安になることも…
たとえば、世の中には「ほめて育てれば子どもは伸びる」、「東大に入れる」といった子育てのハウツー本がたくさんあります。でも冷静に考えてみたら、子どもは一人ひとり個性や能力、環境もまったく違うのに「ほめれば誰でも東大に入れる」なんて、それはないなって気づきますよね(笑)。
親はつい「正しい育て方」のようにわかりやすい答えを求めてしまうけれど、子育てにおいて正解はありません。それを理解しておかないと、うまくいかない時に「私は一生懸命やったのに、お前が悪い」と、子どもを責めてしまうことにもなりかねません。
子育てに正解を求めようとするから、ストレスを感じるのです。答えは、状況によって常に変わるものと考えましょう。
たとえば、子どもが親に向かって「バカ」と言ったら、「そんな言葉を遣うんじゃありません!」と叱るのも答えだし、「そうですよ、バカですよ」と、のほほんと受け流すのも答え。
答えは一つではないのです。その時々の状況に応じて、子どものことをよく見ながら、最良だと思う対応をしていきましょう。
ママたちにエールをお願いします
親が子どもにたくさんの夢と願いを持って、できるだけのことをしたいと思うのは自然です。でも子どもは、親が思う通りには育ちません。親がうんとがんばれば立派に育つわけではないし、親がちょっと失敗したからってダメになるものでもない。親がどうあれ、子どもはその子らしく、ちゃんと育っていきます。
あんまり力まないで、自分の人生、子どもとの人生を楽しんでいきましょう。
(この記事はクルール2015年4月号に掲載した記事に加筆・修正したものです。)