Q.こんな時どうする?
新型コロナウイルスが怖くて…
「この子、ひょっとして新型コロナ?」心配になったら
この原稿を書いている5月中旬現在、新型コロナウイルス感染症が全国に広がっています。そんな状況を受け、小児科で診療をしていると、患者さんの保護者から「この子、コロナじゃないですよね?」と質問されることがよくあります。
お子さんに熱などの風邪の症状が出て、不安になる気持ちや「新型コロナではない」と言われて安心したい心境はよくわかります。
でも、一般的なクリニックや病院では、新型コロナウイルス感染症かどうかを調べるPCR検査はできません。風邪のような症状があっても、「咳がひどく夜も眠れない」「食べたり飲んだりできない」「呼吸が苦しそう」など、本人がつらそうでなければ、受診の必要はありません。外出を控えておうちで安静にし、様子を見ましょう。もし新型コロナウイルスに感染してしまっても、80%の人は軽症で終わることがわかっています。
子どもは何度も風邪などの感染症にかかるもの。風邪を引かずに大きくなることはできません。繰り返し感染症に罹患するたびに、少しずつ免疫を獲得していくので、心配しすぎないでくださいね。
ワクチンで防げる病気は防ごう予防接種は延期しないで
また、「病院に行って新型コロナウイルスに感染するのが怖い」と、子どもの予防接種の延期を考えている方もいるかと思います。
でも、現在は人との接触が少なくなっているため、さまざまな感染症にかかる機会が減っていますが、自由な行き来が始まると、ワクチンを受けていない乳幼児は病気にかかる危険性が高まります。
たとえば、麻疹(はしか)は、空気感染し、治療法もなく、先進国で最良の治療を受けても千人中1・5人が亡くなるという恐ろしい感染症。そんな怖い感染症でも「ワクチンがある」という安心感は、今ならみんなが実感できるでしょう。
日本小児科学会も、「予防接種を回避するデメリットは大きい」「保護者と実施者が協力し可能な限り予定通りに実施すべき」とホームページで呼びかけています。
たいていの小児科では、特別に時間を区切って予防接種を行い、待合室で体調の良くない子と一緒に過ごさなくていいようになっています。そのほか、前出の日本小児科学会では、「きょうだいや祖父母などの同伴を避けること」「(接種会場で)オムツを替えないこと」など具体的な配慮も伝えています。麻疹以外も、予防接種の対象となっている病気は、かかると命に関わったり、重い後遺症が残る可能性があるものばかり。
ロタウイルスワクチンは受けられる時期が限られますし、ヒブ・肺炎球菌ワクチンは細菌性髄膜炎、4種混合ワクチンは命に関わる感染症やいまだ治療法のないポリオ、B型肝炎ワクチンは肝臓がんやB型肝炎ウイルスのキャリア化を防ぐことができます。
不安な場合は、まずはかかりつけの小児科に、どのような感染予防策をしているか問い合わせてみてはいかがでしょうか。ぜひ予防接種を控えることなく、配慮をしながら、予定通りのスケジュールで受けさせてください。