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ワクチンって安全なの?【Dr.村中璃子のからだノート】

子育ては24時間365日のオンコール。「病気だって休めない」あなたと、
あなたの大切な家族を守るため、医療や健康にまつわる知識を身につけよう。

「何となく不安」なワクチン

子どもにとっては「ただの痛い注射」のワクチン。親にとっては、病気から守るものと知りつつも、病気でもないのに人工的な薬を子どもに使うことに「何となく不安」と思う人もいるはずです。

ワクチンにはいろんな「悪い噂」もあります。1970年代のアメリカでは、三種混合ワクチン(現在はポリオが加わり4種混合)が痙攣や知的障害を引き起こすという噂があり、激しい反ワクチン運動が展開されました。

ワクチンをめぐる、世界でもっとも有名な悪い噂は、イギリスの元医師(後に医師免許取り消し)が唱えた麻疹(はしか)・おたふくかぜ・風疹を防ぐMMRワクチンが自閉症を起こすというもの。

日本でも定期接種である子宮頸がんワクチンが、痙攣や慢性の痛みなどを起こすという噂がありますが、これらのワクチンに関する噂はすべて、「何となく不安」に思う気持ちがつくった、「裏付けとなる科学的証拠のないフェイクニュース」です。

「副反応」って何?

ワクチンの話をする際に「副反応(ふくはんのう)」という言葉をよく見かけます。「副作用(ふくさよう)と何が違うの?」と思う人もいるかもしれませんが、ズバリ、二つは同じものです。

治療のために使う薬とは違い、ワクチンは健康な人に接種します。それは、人間が元来持つ免疫反応を、病気を防ぐレベルまで引き上げるため。

つまり、ワクチンで免疫ができるのは自然な反応なので、それ以外の症状も反応と呼ぶべきだという理由から「副反応」と呼ぶのです。

時々、「ワクチンの危険性をごまかすためだ!」などと言う人がいますが、そんなことはありません。

 

交通事故も自殺も「副反応」!?

紛らわしい言葉がもう一組あります。「有害事象」と「副反応」です。

「有害事象」とは、交通事故、自殺、風邪や食中毒など、ワクチン薬剤に無関係なものでも、ワクチン接種後一定の期間(通常は28日)に起きた、良くないできごとを指します。

一方、「副反応」というのは、接種部位の痛みや腫れ、発熱をはじめとする、薬剤との因果関係が否定できない良くないできごと、いわゆる副作用です。

ところが、日本ではメディアどころか厚労省まで「有害事象」を「副反応」と呼んでいる場合があります。

一般の人が混同するのも無理はありませんが、新聞などで「副反応」と書いているものには、ワクチンとの因果関係がないものも含まれている、と頭の片隅に置いておくと良いでしょう。

 

定期接種ワクチンなら 危なくないの?

ワクチンの副反応、治療薬でいうところの副作用は、どんな医薬品にもあります。

2015年4月8日の消費者庁の発表によると2009年度から2013年度の間で市販薬による副作用の報告数は1225件、うち15件が死亡例です。つまり、どんなワクチンにもごく稀に副反応は起きることがあるといえます。

では、国やWHO(世界保健機構)が推奨するワクチンであれば、どれも市販薬くらいのレベルでは安全だと言えるのでしょうか。

新しいワクチンの安全性に関するモニタリングは皆さんが思う以上に厳しいものです。

最近も昨年市場に出たばかりのデング熱ワクチンが、WHOの推奨を取り消されました。未感染の人が接種すると、感染した際にかえって症状が重くなることが分かったからです。

このように厳しい治験を通って承認されたワクチンでも、発売後に危険性が明らかになることがあります。そうなれば本当に危なくないかどうか何年も様子を見ることはなく、推奨はすぐに取り消されます。

個人的な意見を言えば、市場に出て最低2年の推奨を受けた実績のあるワクチンであれば、まず安全だと考えていいと思います。

村中 璃子さん

医師・ジャーナリスト。京都大学医学研究科非常勤講師。世界保健機構(WHO)を経て、メディアへの執筆を始める。2017年、ジョン・マドックス賞受賞。著書『10万個の子宮』(平凡社)。noteにて、新しい記事を発信中。

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