子どもの食物アレルギーが心配
早く多くの食材を与えた方が食物アレルギーになりにくい
現在、子どもの10人に1人が食物アレルギーを持っていると言われており、実際に私も「子どもが食物アレルギーにならないか心配です」という保護者の相談をよく受けます。子どもの食物アレルギーが心配で、「離乳食の開始を遅らせている」という人や、「小麦や鶏卵、牛乳、ソバやピーナッツは1歳になるまで食べさせないようにしている」という人もたくさんいます。
しかし、実は、「早い時期からいろいろな食材を食べさせた方が、食物アレルギーになりにくい」ということがわかっています。
たとえば、ピーナッツアレルギーの多いイギリスで行われた研究では、0歳児を「ピーナッツを食べさせる」「食べさせない」の2グループに分け、5歳時にどうなったかを調べました(※)。その結果、0歳時にピーナッツアレルギーがあってもなくても、「0歳からピーナッツを食べさせた」グループの方が、5歳になったとき、ピーナッツアレルギーのある割合が少なかったのです。つまり、早期にピーナッツを食べ始めるとピーナッツアレルギーの発生が防げるという結果でした。
ですから、食物アレルギーやアナフィラキシーショックを起こしたことのある両親やきょうだいがいたり、顔や体に湿疹などがあって医師の指導で離乳食を遅らせている、などでなければ、特定の食材を避けたりせず、5~6カ月からは何でも食べさせましょう。
離乳食は「1日1食材」にこだわらなくて大丈夫
また、「どの食材でアレルギーを起こすかわからないから、離乳食は1日に1種類ずつ新しい食材を増やしている」という人や、「入園前に1日1種類ずつ試して」と、保育園からリストをもらった人もいました。
しかし、本人や家族のリスクが高くないのなら、「1日1食材」を守る必要はありません。特にアレルギーを起こしやすい食材である、鶏卵・乳製品・小麦・ピーナッツなどでなければ、「1日1食材」にこだわらず、新しい食材をいくつも同時に与えて大丈夫です。
「離乳食を始める前に、子どもにアレルギーの検査をしてください」と言われることもあります。でも、検査の必要はありません。血液検査で、ある食材に「アレルギーあり」の結果が出ても、実際に食べさせてみると症状が出ないことはよくあります。この場合、食事制限はせず、食べさせた方がいいのです。大切なのは症状です。
もし、アレルギーの心配な食材を食べさせる場合には、症状が出たらすぐ小児科にかかることのできる「平日午前中」に、「まずは一口から」にすると安心ですね。
アレルギーを気にしすぎず家族で楽しく食事をしよう
アレルギーと聞くと、食べ物を心配しがちですが、実は同じアレルゲンでも、皮膚に比べ、口から入ったときの方がアレルギーが起こりにくいのです。
食物アレルギーを心配して、自己判断で、ある食材を避けるよりも、もし子どもの肌が荒れていたら保湿をしたり、ひどいようなら小児科や皮膚科を受診することが、アレルギー予防につながります。
食物アレルギーについては、あまり心配しすぎず、家庭で保護者が食べているものなら、何でも食べさせてみましょう。家族みんなで同じものを食べるのは楽しいし、食事の用意もラクになりますよ。