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うんちやおしっこ、家族でもっと話そう【きかせて、子そだて】

手厚い指導があった園に比べて、何かと心配な小学校のトイレ。「学校でうんちできる?」「もし間に合わなかったら?」「和式トイレの小学校もあるって聞くけど…」と不安はいっぱい。入学前にできることは?小学校のトイレ空間改善にも取り組む、日本トイレ研究所の加藤 篤さんにお話を伺いました。

「うんちをするのはいいこと」 みんなで共有したい大前提

まずは「トイレに行くことはいいことだ」という考えを共有することです。ひとりひとりがトイレに行って、うんち・おしっこをすることは、とってもいいことなんです。それは大前提です。

その上で、「学校のトイレでうんちがしにくい」への対策として家庭でできることは、「生活習慣を整える」ことです。朝、家でうんちが出ていれば、安心ですよね。排泄は自律神経が担っているので、タイミングを整えるためには生活のリズムが大切です。

同じ時間に寝て、同じ時間に起きて、朝ご飯をしっかり食べて、うんちをする。数日や1週間では無理なので、半年~1年前くらいから取り組みましょう。ただ、昼や夜が排泄のタイミング、という子どもも中にはいます。

次に、これは学校の先生にお願いしたいのですが、「うんちをするのはいいことだ」と、先生がみんなに伝えてほしいのです。さらに、「休み時間になるべく行ってほしいけど、うんちするのはいいことだから、授業中でも行っていいんだよ」とも言ってほしいですね。我慢は便秘につながりますし、漏らしてしまったら大変ですから。先生の言葉は子どもにとって影響力が大きいので、先生が言うことが効果的です。

日本では「雰囲気」が大切ですから、最初に先生が「トイレに行くことはいいことだ」というクラスの雰囲気づくりをしておいてくれるといいですよね。

最後にかなり少なくなりましたが、今でも和便器を使っている学校もあります。洋便器しか使ったことのない子どもだと、最初は戸惑うでしょう。学校に「洋便器を増やしてほしい」と伝えることも必要ですが、子どもの将来を考えると、「和便器でも洋便器でもどちらでも大丈夫!」になっておくことが大切です。

日本人は「和便器は過去のもの」「遅れたもの」と思い込んでいますが、これは文化や慣習の違い。世界を見渡してみれば、和便器を使っているところの方が多いのです。視野を海外に広げると、男性がしゃがんでおしっこをする文化だってあります。何が正解ということはありません。

将来海外へ行くことを考えれば、また災害時のトイレやキャンプなどアウトドアのことを考えても、どっちでもできるようになっておいた方が豊かだと思います。なかなか和便器が周りにないかもしれませんが、機会があったら、ぜひ小学校入学前の段階で練習してみてくださいね。

排泄は大切な生活の一部 話し慣れていれば相談しやすい

子育て中の家庭に伝えたいことは、ぜひ日頃から家族で「うんちやおしっこをすることは、いいことだ」と話し合っておいてほしいのです。「食事をすること」「眠ること」「体を動かすこと」と同じように、排泄も毎日の生活の一部です。特別なことにせず、「最近出てる?」「うんちの形、どうだった?」などと日常的に話題にしてください。そうすれば、いざ体調が良くなかったり、トイレで困ったときに相談しやすくなります。

子どもが困ったときに言いやすくするためには、言いやすい環境をつくっておくこと。そのためには、普段から話し慣れておくことです。排泄の困りごとは、ただでさえ打ち明けにくいものですから。「汚い話はやめてよ」などと言わず、笑顔で軽やかに「お母さんはこうだったよ、あなたは?」など、うんちやおしっこについて積極的に話してみてくださいね。

 

うんちweek

NPO法人 日本トイレ研究所では、11月10日を「いい(=11)トイレ(=10)の日」としています。また、11月19日は国連の定めた「世界トイレの日」であることにもちなみ、11月10日~19日の10日間を、うんちを意識して健康について考える「うんちweek」と命名。今年の「うんちweek」は、「おなかにいいことしよう」をテーマに特設サイトをオープン、子どもも食物繊維を摂れるレシピなど、「おなかにいい10のこと」を紹介。ぜひ親子で見てみてください。

加藤 篤さん

NPO法人 日本トイレ研究所 代表理事。トイレを通して社会をよりよい方向に変えていくことを目指し、小学校のトイレ空間改善や、災害時のトイレ調査、防災トイレワークショップなどに取り組む。著書に『もしもトイレがなかったら』(少年写真新聞社)、『うんちはすごい』(株式会社イーストプレス)、絵本『うんちさま』(金の星社)など。

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