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誰もが宇宙に行く時代はもうすぐ!好奇心やワクワクを持ち続けて【きかせて、子そだて】

「宇宙ってどんなところ?」「宇宙飛行士になりたい!」宇宙に興味を持つ子どもを応援するには?ママやパパも気軽に宇宙に行く時代は来る?国際宇宙ステーションに滞在した宇宙飛行士で、宇宙を身近にする活動に取り組む山崎 直子さんにお話を聞きました。

職場も旅行先も「宇宙」 そんな時代がやってくる

今年の秋、JAXAは13年ぶりに宇宙飛行士を募集。理系だけでなく文系や大学卒以外にも門戸を広げる検討や、「兼業」や「パートタイム」の宇宙飛行士の検討もされています。時を同じくして、欧州宇宙機関(ESA)は身体障害者を宇宙飛行士として採用する方針を発表。今後も間口は広がっていくでしょう。

かつては「虫歯が1本でもあったらダメ」「裸眼視力が良くないとダメ」だった宇宙飛行士ですが、今は虫歯も治療してあれば大丈夫、視力も眼鏡をかけて1.0以上なら問題ありません。これからは宇宙飛行士でなくても、学校の先生やユーチューバーなどさまざまな職業の人が宇宙で活躍する時代になるでしょう。

宇宙旅行も身近になるはずです。今一番の問題は宇宙船のコストですが、飛行機の場合も、日本人が海外旅行に行くようになった1960年代には、ハワイ旅行は当時の年収の2倍くらい。でも、現在は多くの人が海外旅行に行けるようになりました。宇宙旅行も、20年くらい経つと、今の世界一周旅行くらいの感覚になるのでは、と思っています。私もぜひ再び宇宙に行きたいですね。

毎晩娘に伝える「生まれて きてくれてありがとう」

私は、セミの孵化を毛布を被ってずっと眺めているような、比較的のんびりした性格の子どもでした。未就学児の頃は、散歩では「おんぶ!だっこ!」ばかりで、「歩かない子だな」と親は心配したそうです。だから、今甘えんぼのお子さんでも大丈夫です、タイミングが来れば自立するので安心してください(笑)。私が子どもの頃は日本人の宇宙飛行士はいなかったので、「宇宙飛行士になろう」とは考えもしなくて。でも、『宇宙戦艦ヤマト』を見たり、本を読んだりしているうちに、両親も「宇宙が好きなんだな」と気づいてくれて、プラネタリウムに連れて行ったり、好奇心の後押しをしてくれました。

私にも2人の娘がいますが、特に長女が未就学児の頃は、私はずっと訓練など働き通しで、なかなか一緒に過ごせないもどかしさもあって。当時も今も、娘たちに安心感を与えたくて、毎晩寝る前には「生まれてきてくれてありがとう」と伝えています。

宇宙はわからないことだらけ 「好奇心の宝庫」です

私が宇宙に行って感じられたのは、地球の美しさでした。真っ暗な宇宙の中で輝いていて、海外に行くと日本の良さがわかるのと同じで、今まで当たり前だと思っていた地球がとても貴重だとわかったんです。宇宙も、実際に行ってみれば、毎日ご飯を食べて、寝袋で寝て、という「日常」。そんなところも海外旅行と一緒かもしれません。

今はコロナ禍もあって閉塞感を感じるかもしれないけれど、子どもたちにはワクワクする心や好奇心を持ち続けてほしいと思います。宇宙はまだまだわからないことだらけ、好奇心の宝庫です。ぜひ宇宙にも、身の回りのことにも興味を持って成長してくださいね。

宇宙飛行士は見た 宇宙に行ったらこうだった!

「宇宙空間は甘酸っぱい匂いがする」「宇宙では目を閉じていても光が見える」など、
行ったからこそわかる宇宙のエピソードが満載!
写真・イラストもいっぱいで、宇宙の最新知識も網羅、親子で読める楽しい宇宙の本です。
出版社 : repicbook 著:山崎 直子 イラスト:フジタヒロミ

山崎 直子さん

1999年に宇宙飛行士候補者に選ばれ、2001年認定。2010年にスペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗、国際宇宙ステーション(ISS)組立補給ミッションに従事。2011年JAXA退職。内閣府宇宙政策委員会委員、一般社団法人スペースポートジャパン代表理事、日本宇宙少年団(YAC)アドバイザーなど。18歳・9歳の姉妹の母。

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