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9時までに寝かせられません【コドモカルテ】

Q.9時までに寝かせられません

“睡眠のゴールデンタイム”は 誤解から広まったもの

「午後10時から午前2時までのゴールデンタイムに睡眠をとらないと成長ホルモンが出ない」といった話、聞いたことがありますよね。そんな話を聞いた保護者から「早く寝かせたいと思っているのに、子どもが全然寝ないんです」という相談をよく受けます。

まず知ってほしいのは、“睡眠のゴールデンタイム”は誤解から広まったものだ、ということ。そういうものはありません。確かに成人男性は入眠時に成長ホルモン濃度が上昇しますが、成人女性は日中の覚醒している間にも何度も成長ホルモン分泌のピークがあります。さらに、まとまった睡眠をとっても、分割してとっても、1日に分泌される成長ホルモンの量は一定だと多くの研究者が言っています。

子どもの場合はというと、生後3~4カ月頃から睡眠時に成長ホルモンが出るようになり、4~6歳を過ぎると入眠時に多量に分泌されることがわかっています。つまり、子どもも眠りさえすれば成長ホルモンが出るのです。何時に寝ないと分泌されないということはありませんし、お昼寝を十分にしていれば、夜の睡眠が多少は少なくても大丈夫です。

「9時までに寝かせないと キレる子になる」は根拠がない

「保育園児の子どもがしょっちゅう風邪をひくのは、早く寝かせられないからだ」と自分を責めるお母さんのブログを読んだことがあります。子どもを保育園に迎えに行き、帰宅して、食事して、お風呂に入れて、歯を磨いて…とやっていると、どんなに急いでも就寝時間が遅くなってしまうんですよね。

これも、それほど心配はいりません。確かに睡眠不足が続けば、健康にとってよくありません。十分に眠れないと疲れますし、注意力や記憶力の低下、気分障害、イライラ感などで本人がつらい思いをし、周囲が困るような問題行動の原因にもなり得ます。それでも、「◯時までに寝かせないと体が弱くなる」「キレる子になる」「背が伸びない」といった説には医学的根拠がありません。

中には「睡眠時間が足りないと発達障害になる」というひどい言説を見聞きすることもありますが、これは全く逆で、発達に何か問題がある場合、そのために睡眠障害が起こることがあるのです。乳幼児健診で指摘されたり、保育園・幼稚園で問題行動のあるお子さんがよく眠れていない場合には小児科で相談しましょう。改善の手立てがあるかもしれません。

寝たがらない子を寝かしつけるのは、いつの時代も難しいこと。昼寝をさせすぎない、日中を活動的に過ごす、同じ時間に寝かせる、子守唄を歌う…いろいろなことをしても、寝ない時は寝ません。

一通りやってみてダメなら、ひとりで寝かせる訓練をする、というのはどうでしょう?そばにいても寝ないなら、明るい顔で「じゃあ、おやすみ」と言って寝室から去り、家事をする…といった具合に割り切ってもいいと思います。それが子どもにいい結果をもたらすこともありますし、大人も自分の時間が得られます。罪悪感を覚える必要は全くありませんよ。

森戸 やすみさん

小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、現在は東京都内で 開業準備中。著書は「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」等多数。

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