筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
間違ったメッセージを発していませんか?
普段、子どもに「クルマに気をつけて」「信号をよく見て渡りなさい」などと言っていませんか?それだけでは、具体的にどのように行動すれば良いのか、子どもはわかりません。
また、子どもに「~しなさい」「~してはダメ」と教えていながら、自分ができていないことはありませんか。そのことを子どもに指摘されると、言い訳をしたり、開き直ったり…身に覚えがある方もいるかもしれませんね。
親の日頃の言動が子どものルールになります
実際、私たちの研究では、親が赤信号で横断しようとした(してしまった)ことを子どもに指摘されたときに、約40%の親が「大人と一緒のときは大丈夫」「クルマが来ていないときはいいんだよ」などと返していることが確認されています。また、幼稚園・保育園で園児に話を聞いてみると「赤信号でも、クルマが来なければ渡ってもいいとパパが言っていた」「ママは信号が赤でも『早く早く』と言いながら渡るよ」と口々に言います。
大事なのは、こうした親の普段の言動こそが、幼児にとって当たり前のルールになっていくということです。幼児は、親やきょうだいなど親しい関係にある人の言動を真似て、言葉や社会性を身につけていくことを、親はよくよく心に留めておく必要があります。
人を思いやる大切さも親が行動で示すのが一番
マナーについても同様です。園児たちは「パパは歩きながらスマホを見ているよ。でもぶつからない」「ママはいつも急いでエスカレータを歩いてる」と話します。
駅のホームでは大勢の人が、ながらスマホをしています。高齢の方、目の見えない方、幼児や妊婦さんが、ながらスマホをしている人にぶつかられ、線路に落ちて亡くなったりケガをしたりする事故が絶えません。エスカレータを走ったり、歩いたりするのも、非常に危険な行為です。
幼児に、ながらスマホやエスカレータ歩行の危険性を言葉で教えてもよく理解できないかもしれませんが、「パパ・ママは絶対に、ながらスマホをしない」ことを日頃から見ていれば、その子は当たり前のように、ながらスマホをしない人になっていくでしょう。
まわりの人を思いやる大切さも、親が子どもに良い手本を示すのが、一番効果的です。それは、親の義務でもありますよ。