筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
園では多少のケガはつきもの
子どもは、家でも外出先でも活発に行動するものです。遊んでいて転んだりぶつけたりして、ちょっと擦りむいたり、たんこぶをつくったりはよくあることです。
この先、子どもが園で小さなケガをして帰宅することがあるかもしれません。園でのケガは状況がわからないだけに、親はとても心配なものです。そんなときは、担任の先生に「穏やかに」事情を尋ねてみましょう。
そこでもし、保育者を責めたら、禁止ばかりの保育になってしまいます。走らなければ転ばない、飛び跳ねなければぶつからないのですから、保育者は子どもの活動を制限するようになるのです。禁止ばかりの保育では、子どもの心と体を十分に発達させることはできません。
園はお友達とケンカをする場所
集団生活の中では、子ども同士のケンカもよくあることです。
子どもはケンカを通して、「自分の思うことを相手に伝えること」「相手の思っていることを受け取ること」「最後には仲直りをして、ケンカする前よりも仲良くなること」を学んでいきます。社会性を発達させるうえで、子どものうちに「良いケンカ」の練習をたくさんしておくことは、とても大切です。
しかし、「勝つこと」を目的にしているご両親の夫婦げんかは、良いケンカのモデルにはなりません。良いケンカの練習は、園で保育者に見守られながらする必要があります。
保育者なら、あまり口出しをしないでケンカを横目で見守り、最終的には介入して、仲直りするように子どもたちを上手く導いてくれます。
しかし、保育者も、親から「ケンカをさせないで」と言われたら、ケンカをすぐに止めざるをえません。それでは、子どもはちゃんとしたケンカを経験できないままになってしまいます。
園で良いケンカをたくさんしている子は、人とのコミュニケーションが上手になり、仲良しのお友達がたくさんできますよ。
幼稚園・保育園は、子どもが家族と初めて離れて過ごす「小さな社会」です。お友達や保育者と一緒に、ごはんを食べたり遊んだり、家庭ではできない経験をたくさんしながら、子どもの心・体・知能がぐんぐん伸びていきます。
子どもの成長を楽しみに、春からは大きな気持ちで、子どもを見守っていきましょう。