筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
アメリカのIT産業に勤める親は 子どもをスマホから離す
アメリカのIT産業に勤める親は、ベビーシッターを採用する際に「ノースクリーン契約」をすると言います。子どもの前でスマホやタブレット、コンピュータ、テレビを一切つけない約束です。スマホに関わる仕事をしている親ほど、子どもをスマホから引き離そうと必死なのです。アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が、わが子にスマホやタブレットを使わせなかった話は有名です。
最近のアメリカの心理学研究では、2~3歳の頃にスクリーンをよく見ている子どもは、その後の運動能力やコミュニケーション能力の発達に問題が生じる傾向があるという報告があります。一方、専門家の間には、テレビやYouTubeの中でもストーリー性のある映像は、子どもの国語読解力の基となる、映像読解力が身につくとの意見もあります。
たとえば、子どもは映像を見て「のび太は悔しくて泣いているんだな」「きっとプーさんは喜ぶぞ」というように、ストーリーを理解し、登場人物の気持ちを推測し、次の展開を予測します。
スマホの映像は、子どもの言葉と社会性の発達のツールにもなるのです。
スマホをいつから、 どのくらい使わせる?
今の時代、スマホを全く見ない生活を子どもにさせるのは難しいでしょう。しかし、長時間使わせることの害が大きいのも事実です。スマホの害を避けつつ子どもの発達にプラスにするには、計画的に使わせることが必要です。
スマホを渡す時期は、5歳以降が適切だと思います。2歳頃からスマホを見ている子どもは、ぐずればスマホが手に入ることを学習しているケースが多く、長時間使いがち。スマホ中毒の第一段階です。5歳まではテレビを見せるといいでしょう。スマホはどこでも見ることができますが、テレビはその前にいないと見られません。
また、映像の見過ぎは子どもの思考を受け身にし、考える力が伸びなくなります。健康のために子どものお菓子を制限するように、スマホを使う時間も制限しましょう。子どもが頭を働かせて映像を見るのは、1日に1~2時間くらいまで。それ以上は、映像が目の前を流れていくだけになります。良質なストーリー映像を選び、見た後に親子で感想を話すと、映像の理解が深まります。
パパやママの価値観も伝えることができ、スマホが家庭教育のツールとしても活躍してくれますよ。