「子どもが寝つかない」「寝起きが悪い」など、子どもの睡眠について悩んでいませんか?子どもの良い睡眠のために、家庭ではどうすればいいのでしょうか。睡眠の大切さを広める活動に取り組む、睡眠改善インストラクターの橋爪あきさんに、お話を伺います。
前編では、睡眠の役割、良い睡眠のために大切なことを教えていただきました。
橋爪あき さん
睡眠改善インストラクター。一般社団法人日本眠育普及協会代表。日本睡眠学会正会員。睡眠文化研究者。自身の睡眠障害を克服したのをきっかけに、睡眠の大切さと知識を広めるため、全国の教育や医療の現場などで広報活動を行う。
講演等のお問合せ:一般社団法人日本眠育普及協会 http://min-iku.com/
——そもそも、睡眠とは何でしょうか?
睡眠は単なる「休息」と思われがちですが、人間は眠っている間に、成長ホルモンの分泌や脳の老廃物の排出、記憶の整理、心のメンテナンスなどを行います。
睡眠が不十分な状態が続くと、これらが機能しないため、心身にさまざまな異常をきたします。時には、うつ症状、認知症、肥満や循環器系疾患、糖尿病など、深刻な病気の要因になることも。
睡眠は、心と体をつくるための重要な「活動」なんですよ。
——良い睡眠とはどういうものでしょうか?
良く眠れると、朝は自然に目覚め、日中はすっきりとした気分で元気に活動できます。もし、子どもが朝から機嫌が悪かったり、午前中もあくびが多く、ぼーっとしていたりすれば、良く眠れていないのかもしれません。
——子どもの睡眠で問題となるのは、どんなことでしょうか?
子どもは睡眠に問題があっても、自分では気づけないことです。大人でも、睡眠の知識がないために、自分が睡眠障害であると自覚していないケースがたくさんあります。
親が正しい知識を持って、子どもの睡眠に気をつけてあげることが大切です。
——良い睡眠のために大切なことは何でしょうか?
睡眠だけでなく、生活全般に目を向けるようにしましょう。人間は本来、朝日で目覚め、日没とともに眠るようにプログラムされています。
良い睡眠のためには、このサイクルに従って規則正しい生活を送ることが第一。快眠のための枕やマットレスを選ぶことも大事ですが、その前に生活リズムが乱れていては、質の良い睡眠は得られませんよ。
——具体的にどうすればいいでしょうか
まずは、起きる・寝る時間を毎日そろえましょう。起きたら朝日を浴び、朝食を食べて、体をしっかり目覚めさせて。日中の過ごし方も大事です。外気と日光にあたり、体に適度な刺激を与えましょう。
就寝前は、スマートフォンやテレビなど、強い光で脳を刺激するのはNG。メンタルも睡眠に大きく影響するので、寝る前に子どもを叱るのも避けましょうね。
そして、寝るときは「おやすみなさい」の挨拶を忘れずに。それだけで心が癒され、安眠できますよ。
他にも、パジャマは静電気が起きにくく、吸湿・通気・放熱性の良い天然素材を選ぶなど、睡眠環境にも気を配ると睡眠の質が高まります。
——添い寝をしても問題ないでしょうか?
ポイントは、添い寝と睡眠を分けること。同じ寝具で眠ると寝返りがしにくいし、相手の寝返りで目が覚めやすくなります。
また、大人と子どもでは体温が違い、子どもは体温が高いので、大人と同じ寝具では暑くて寝つきが悪くなることもあります。
添い寝をするときは同じ寝具でかまいませんが、子どもが寝たら、別々の寝具で眠るようにしましょう。
後編に続く(※2018年4月13日公開予定です)