「海外のママはどんな子育てをしているのかな」と気になることはありませんか?
今回お話を伺ったのは、フィンランドに生まれ、幼少期を日本で過ごした坂根シルックさん。20代のときに再来日し、就職、結婚。働きながら2人の子どもを育てました。
子育ての一時期をフィンランドで生活し、2つの国の子育てを経験したシルックさんの子育てとは、どんなものだったのでしょうか?
後編では、日本のママたちにとっても、子育てのヒントになることをたくさん教えていただきました。
*前編
フィンランドと日本の子育てを体験した、シルックさん流の子育てとは?【子どもと向き合う・前編】
シルックさんは、どんな子育てをしていましたか?
私の子育ては、基本的にはフィンランド式なんです。
フィンランドでは、親は親、子どもは子ども、それぞれ別の「個」としてみます。親は親の人生を生き、子どもにも、自分で選んだ道を自由に歩かせるのです。
私も親から進路についてあれこれ言われたことはないし、日本へ行くときも、自分で全部決めてから「来年、日本へ行くね」と報告して何の問題もありませんでした。
そんな風に育てられたので、子どもたちにも、情報や機会は与ええるけれど、「ああしなさい」「こうしなさい」と言うことはなかったですね。
日本の子育てとはだいぶ違う印象ですね
フィンランドは人口が少ないので、一人ひとりがしっかりと自立する必要があります。だから家庭でも学校でも、子どもは小さい頃から自分で考えて判断し、行動するように育てられるのです。社会に合った子育てがあるのだと思いますよ。
ただ、親が子どもを管理し過ぎると、子どもは自分が本当は何をしたいのか、どういう人間なのかわからないままになってしまうのではないかなと思います。
私が大学で教えている日本の学生たちを見ても、勉強はできるけれど、行き詰まっている子が少なからずいて、心配になります。親が何でも決めてしまうのではなく、子どもが自分で選べるように、いろいろな選択肢を示してあげられるといいのかなと思います。
子どもと接するときは、どんなことを大切にしていましたか?
やはり、子どもを一人の個としてみることです。
たとえば「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」などと言って、子どもに“こうあるべき”を押しつけることはしません。上の子・下の子、男の子・女の子に関係なく、子ども自身をよく見るようにしました。
「この子が好きなこと、得意は何かな」と子どもの良いところを見つけて、伸びるように促してあげるのです。子どもの個性を尊重し、手をかけないで、目をかける。それが、フィンランド式の子育てなんですよ。
そうありたいと思いつつ、手出し、口出しをしちゃいます…
それは私も同じです(笑)。世話好きな性分なので、つい手を出し過ぎて「ダメだなぁ」と反省することもよくあるし、私だって全然、完璧な子育てはしていないですよ。
でも、完璧でなくていいんです。日本のお母さんを見ていると「あれも、これもできなくちゃ」と完璧を求め過ぎて、できなくて苦しんでいる人がたくさんいる気がします。
日本では、学校でも職場でも、オールマイティに何でもできることが求められるので、母親になっても「完璧でなければ」と思ってしまうのかもしれませんね。そして、子どもにも完璧を求めて、思い通りにならなくて、またイライラしてしまう――。
どうしたら、気持ちが楽になるでしょうか
「どうあるべきか」よりも、「どうありたいか」を大切にすることだと思います。他人の価値観に振り回されていては、いつまでも心は満たされません。
もし、子育てや今の自分のあり方に悩んでいるお母さんがいたら、一度立ち止まって、本当はどうありたいのか、自分と向き合ってみてほしいなと思います。
「あるべき」を手放して、お母さんが自分自身で選んでいくことが、お母さんと子どもの本当の幸せにつながっていくと思います。
子どもとの接し方や、考え方。何かひとつでいいから、変えてみると、「こうありたいな」に近づいていけると思いますよ。
ママたちにエールをお願いします
自分を好きになってあげてください。完璧はないし、他人の評価も関係ない。
お母さんがありのままの自分を好きになれたら、子どものことも、もっと広い心で受け容れられるようになります。自分に優しくしてあげてくださいね。
(おしまい)