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世界の子育て、みんな違って、みんな大変。【きかせて、子そだて】

世界のさまざまな国の子育てを紹介するコミックエッセイ『世界の子育てくらべてみたら、心がふわっとラクになった』を出版した、マンガ家で料理研究家の織田博子さんは、3人の子どもを育てる母親でもあります。どうしてこの本をつくったのですか?つくっていて考えたことは?お話を聞きました。

「キスすると赤ちゃんが寝る」ミャンマーの第二の母の教え

この本をつくったのは、担当の編集者さんから「海外の子育てをテーマにしてみませんか?」と提案してもらったことがきっかけでした。私の出産後に同じマンションに住むミャンマー人のおばちゃんが仲良くしてくれて、赤ちゃんを見てくれたり、ミャンマー料理をつくって食べさせてくれたりもしていたんです。実家は電車で1時間くらいかかるので、何かと気にかけてくれる「第二のお母さん」みたいな感じですね。ミャンマーの子育てについても教えてくれて、その中に「いっぱいチューをすると赤ちゃんがよく寝る」という俗信があって、それは「いいな」と思って、今でもよくやっていますね。キスって何だか欧米みたいな感覚があるけど、ミャンマーでもやるんだな、とか。そんなふうに「日本の考え方とは違うけど素敵だな」と思ったことは取り入れるし、海外の子育てへの興味は以前からありましたね。

子育てインタビューでは知らなかった発見が山ほど

本をつくるにあたっては、旅行で出会った海外の友達など、海外に住んで子育てをしている外国人や日本人、日本に住んで子育てをしている海外出身の人など、40人くらいにインタビューをしたのですが、発見が山ほどありました。もともとの友人なら共通した感覚があると思っていたけど、そうでもなくて、文化によって子育ての常識が違ったんだ、と。日本でも、初めて妊娠したときに「戌の日に腹帯を巻く」とか古風なことがふっと出てきて驚きましたけど、外国ならなおさらですよね。

たとえば、ドイツの一部では「女性は家にいるべき」という保守的な考えが残っていて、今は共働きも増えてきているとはいえ、保育園は15時までですし、子どもは19時には寝かせるそうです。イメージと違いますよね。かと思えば、ドイツの公園にはトイレがなくて、「トイレの木」とみんながなんとなく呼んでいる木の下で子どもはこっそりと用を足すんですって。そういったネットや文献には出てこない話が大好きなので、聞かせてもらって面白かったですね。

単に「もっとおおらかに」とは言いたくなかった

もともと編集者さんから提案された本の企画意図としては、「日本の子育てがつらい、だから海外の子育てを紹介して、もっと気楽に子育てを」だったと思います。

でも、日本で「離乳食づくりが大変」という人に、清潔な水が手に入らなかったり、危険で女性だけで買い物に行けない地域の生活から、「海外では大人と同じものを食べさせる国もたくさんあるから、もっとおおらかでいいんだよ」と簡単には言えないと感じました。

悩みに大小はない「日本だから大変」もある

だからといって、悩みに大小はありません。「きれいな水がない地域もあるから、離乳食の悩みなんて小さなこと」ではないんです。安全で衛生的な日本だからこそ、完璧な子育てを求められていて、大変なこともあるんですよね。自分の中に「イマジナリーパーフェクトお母さん」がいて、子どもは早く寝かせて、ご飯は毎日手づくりで、休日は出かけて……そんな「完璧な子育て」をしないといけないと考えてしまうから、つらいのだと思います。世界の子育ては、みんな違って、みんな大変です。

この本でいろんな国の子育てを読むことが、日本で「子育てがつらい」と思っている人の、心をゆるめるきっかけになってくれるといいな、と思いますね。

 

世界の子育てくらべてみたら、心がふわっとラクになった

赤ちゃんとの生活がはじまると、離乳食の細かなルール、お風呂のドタバタ、寝かしつけ、そうこうしているうちに、トイレトレーニングが始まって……。心やすまる間もない、日本の育児。でももしかして、こんな悩みは日本だけ?世界のさまざまな国の子育てを知ることで、はりつめた気持ちがふっとラクになるコミックエッセイ。織田 博子 著、WAVE出版。

織田 博子さん

マンガ家、料理研究家。著作に『世界家庭料理の旅』『女一匹シベリア鉄道の旅』など多数。産経新聞連載「世界の食卓Trip」を執筆し、各国の文化や暮らしを子細に描く。料理イベント「世界家庭料理の旅」を主催し、料理を通じた異文化交流を展開。さらに、アフリカ最大のポップカルチャーイベント「Comic Con Africa」での講演や、ブルガリアでの個展開催など、国際的に活動の場を広げている。9歳・6歳・3歳の3人の子育て中。

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