
年長さんの保護者は、小学校入学を控え、準備が気になる時期。小学生になると子どもだけで行動することも増えるため、改めて安全について考える機会も多いでしょう。「子どもの安全」について研究する岡 真裕美さんに、子どもの「登下校時の交通事故防止」や「留守番時の防犯」について聞きました。
「ママはなんであの車が右に行くってわかったん?」
「魔の7歳」という言葉があります。歩行中の交通事故死傷者数は、20年以上連続で全年齢中7歳が最も多く、その前後の6歳・8歳も7歳に次いで多いのです。小学校入学で、それまで大人と一緒に行動していた子が、子どもだけで登下校したり、遊びに行ったりするようになるからですね。
そもそも6歳頃までの子どもは視野が狭く、大人の60~70%の視野しかないと言われますが、視覚が発達する小学生以降でも、子どもは下だけを見て歩きがち。「縁石の上を歩く」といった自分なりのルールで歩くなど、前や周囲をよく見ていません。そんな中、友達が道路の向こうから呼んだりすると、安全確認をせずにパッと渡ってしまったりします。
そんな子どもの事故を防ぐには、こういった子どもの特性を知るとともに知識を伝えましょう。
たとえば、車の方向指示器(ウインカー)。私も娘が小学2年生の頃、「ママはなんであの車が右に行くってわかったん?」と尋ねられて、「ああ、まだ教えていなかった!」とハッとしたことがあります。他にも、駐車場のバック駐車。子どもにとっては「一度通り過ぎた車が、バックして戻ってくる」なんて意味不明ですよね。大人にとっては当たり前の知識が、子どもにはありません。経験から学ぶことも大切ですが、教えられることも多くあります。小学校入学前から「あの車が入ってきそう」や「ドアが開きそう」など大人がしている予測や安全な行動を伝えながら、一緒に通学路を歩いてみるといいですね。
防犯、コンセント、虫眼鏡…留守番にはルールづくりを
また、小学生になると、やむにやまれない事情で子どもだけで留守番させることもありえます。防犯のため、親子で留守番のルールを決めましょう。まずは、帰ってきたら、誰もいなくても「ただいま」と言って入り、鍵を閉めます。そして、「インターホンが鳴っても出ない」こと。宅配便は、事前にコンビニ配送や置き配に設定しておきましょう。そうは言っていても、ピンポンと鳴ると、子どもはうっかり出てしまうことがあります。もし「おうちの人はいる?」と尋ねられたら、「いるけど、今はトイレ」などと答えて、「いない」とは言わないようにしましょう。
防犯以外も、留守番時には、火や刃物にも注意。「ガスコンロやライターは使わない」や、「虫眼鏡で太陽光を集める遊びはしない」など、絶対にやってほしくないことは、ぜひルールに入れましょう。
屋外では防犯ブザーを持たせます。ただし、ブザーは電池切れなどのリスクもあるので、笛もいいですね。私自身も笛をいつもキーケースにつけて携帯しているんです。 災害時にも役立ちますよ。
さまざまな防犯を講じても、本当に悪意を持って近づく人を防ぐのは難しいのですが、「世の中には悪い人もいる」など、大人が知っていることやニュースを知識として伝えることは大切です。
子どもの事故を防ぐにはまず大人がお手本になろう
子どもの交通事故を防ぐには、まずは大人がルールを守ること。パパ・ママが「今は車が来ていないから」と横断歩道でないところを渡ったり、赤信号で渡ったりしてしまうと、子どもは交通違反ともわからず、「こういうものだ」と理解してしまいます。臨機応変な行動がとれるようになるのは、高学年くらいからで、低学年では難しいのです。子どもは大人がしている通りに行動します。パパ・ママ・周囲の大人がお手本になれるよう、ルールを守りましょう。

子どもを全力で守る本
交通事故やレジャーの事故、誤飲・誤嚥…子どもを取り巻く環境は、さまざまな危険でいっぱい。でも、知っていれば防げる事故があります。大人が正しい知識を身につけて子どもを守るため、岡真裕美さんたちがクラウドファンディングでつくり上げた本。子育ての「あるある」満載のマンガや、漢字にはふりがなもあって、誰もが読んでわかりやすい1冊。中井宏・岡真裕美 編著、いそっぷ社。



