
暑ければ、ためらわずエアコンを使って
暑い夏は、熱中症が心配な時期です。子どもは大人に比べて体温調節機能が未熟で、熱中症になりやすいので、エアコンや扇風機などを適切に使って、過ごしやすい室温を保つようにしましょう。
「子どもは汗をかかないと、汗腺が発達しない」といった話を見聞きしたことがあるかもしれません。でも、普段はエアコンの効いた室内で過ごしていても、保育園・幼稚園の行き帰りや買い物、散歩や外遊びなど、1日の間には何度も汗をかく機会があるでしょう。そういった状況なら、汗腺の発達について特に心配をしなくても大丈夫です。
また、たとえ夜間でも気温が下がらず、熱中症になることはありますし、暑くて眠れないと、体調不良や睡眠不足からの事故にもつながりかねません。寝るときも、暑く感じるのでしたら、エアコンを使ったほうがいいでしょう。
熱中症を防ぐには、水分とともに塩分を摂ることも大切です。生後6カ月までの子どもには、母乳や育児用ミルクだけでいいのですが、それ以上の子どもには、普段飲み慣れている飲み物とともに塩分を含むおやつを食べさせましょう。経口補水液でもいいです。
また、屋外では、帽子をかぶらせることに加え、白など明るい色の服を着せることも有効です。
熱中症は、体温調節機能がうまく働かない状態
そもそも「熱中症」とは何でしょうか?私たち人間は恒温動物なので、体温調節機能を備えています。しかし、あまりにも暑い環境だと、体温調節機能がうまく機能せず、さまざまな症状が出ます。これが、熱中症です。熱中症は、次の4つに分類されます。
〈熱失神〉私たちの体は、皮膚表面で血液を冷やして熱を体外へ逃そうと、末梢の血管を広げます。しかし、体の端のほうにばかり血流が行ってしまうと血圧が低下し、脳への血流が不足して、めまいや一時的な失神が起こるなどします。
〈熱疲労〉熱を体外へ逃すため、汗をかきすぎると水分が不足して脱水が起こり、だるくなったり、頭痛や吐き気を催したりします。
〈熱けいれん〉汗とともに、塩分(ナトリウム)が体外に出ていって不足することで、手足がつったり、筋肉がけいれんしたりします。
〈熱射病〉熱が脳にまで影響している危険な状態で、体温が上昇し、ぼーっとしたり、おかしな言動を取ったり、意識を失ったり、ショック状態になったりします。
もし「熱中症かも」と思ったらすぐに応急処置を
もし「子どもが熱中症かもしれない」と思ったら、次のような応急処置をしてください。ただし、意識がない、水を飲めない、熱射病を疑うような場合には、同時に救急車も呼んでください。
①涼しい場所へ移動させます。
②経口補水液、用意がなければ水と塩を摂らせます。スポーツドリンクでは、塩分が足りません。
③体を冷やします。「溺れないように注意しながら、氷入りの水風呂につける」「全身を水で濡らして、うちわであおぐ」「保冷剤を首や脇の下、足の付け根に当てる」などの方法があります。
このような応急処置をしても回復しないようなら、状態によって救急車を呼んだり、小児科を受診するなどしてください。