インフルエンザワクチンは必要?
「インフルエンザワクチンは効かない」って本当?
「インフルエンザの流行は、例年12月頃から始まり、翌年1月から2月頃に流行のピークを迎えます。近年、流行時期が変化しており、今年のシーズンはもっと早いかもしれません。
インフルエンザワクチンは、生後6カ月から接種ができます。13歳未満なら2~4週間の間隔で2回接種、13歳以上は1回接種です。10~11月頃までに、2回目の接種が終わるように受けさせましょう。
しかし、中には、「インフルエンザワクチンって効かないんですよね?だから、学校での集団接種もなくなったんでしょう?」といった質問をする保護者もいます。
結論からお話しすると、インフルエンザワクチンには感染や発症、重症化を防ぐ効果があり、特に小さな子や妊婦にとって接種しておいた方がいいワクチンです。
では、なぜインフルエンザワクチンの集団接種はなくなったのでしょうか?クルール読者である子育て中の保護者の中には、「小中学生の頃、学校で集団接種を受けていた」という方も多いでしょう。
インフルエンザワクチンの集団接種は、「特に流行が起こりやすい学校で児童・生徒に集団接種を行えば、社会全体の流行が抑えられるはず」という考えで、1994年まで行われていました。保護者にとっても、「接種のために小児科に連れていかなくてもいい」というメリットがあったのです。
ところが、集団接種をしても、インフルエンザは毎年流行したため、群馬県前橋市では1979年から集団接種を中止し、調査を行いました。その結果、ワクチン接種者の多い高崎市などと、接種者の少ない前橋市などを比べ、インフルエンザにかかる率が変わらないことから「ワクチンには効果がない」とする報告書『前橋レポート』が出され、話題になりました。この『前橋レポート』が集団接種のなくなった一因でしょう。
しかし、当時はインフルエンザ迅速診断キットもPCR法もない時代だったので、インフルエンザにかかっているかどうかを正確に判断できず、インフルエンザ罹患者を「37℃以上の発熱があって、連続2日以上欠席した者」などと定義していました。これでは、他の風邪などの病気でも「インフルエンザ罹患者」とされてしまいますね。他にもこの研究には不備があり、現在では「『前橋レポート』を理由に、ワクチンに効果がないとは言えない」とされています。
肺炎や脳症などを防ぐ効果は小さな子や妊婦に大きな意味
インフルエンザワクチンは事前に流行する型を予測し、予測に基づいて製造するわけですが、その予測が外れてしまうこともあります。
しかし、たとえ流行型の予測が外れても、ワクチンには「もし感染しても発症の可能性を抑える効果」と「もし発症しても重症化を防ぐ効果」があります。インフルエンザの「重症化」とは、「肺炎や脳症を起こす」ことを意味します。よく「ワクチンを打ったのに、インフルエンザで40℃の熱が出た」ということがありますが、「高熱が出たから重症」ではありません。体力のない小さな子どもの場合、肺炎や脳症を防ぐ効果は、大きな意味があります。
特に、インフルエンザにかかるとリスクが高い妊娠中の女性は、最優先でワクチンを受けるべきです。インフルエンザワクチンの効果は長くても半年程度なので、今年も受けることをおすすめします。