ママひとりで、抱えこまないでほしいな。
ママの悩みや不安、心配ごとを取り上げていくコーナー。
通常学級でも1クラスに2人は発達障害の傾向がある(2012年文部科学省調査)とされる今、子どもが発達障害やグレーゾーン(発達障害の疑いはあるものの、診断が確定しない状態)で悩むママは少なくありません。
今回お話を伺ったのは、グレーゾーンの2人の子どもを育てるママであり、ご自身も発達障害のモンズースーさん。子育ての日々を綴ったコミックエッセイブログ「生きづらいと思ったら親子で発達障害でした」が大きな反響をよんでいます。
発達障害やグレーゾーンの子どもの子育てとは? モンズースーさんの場合を聞いてみました。今回は、後編をお届けします。
支援を受けて、変化はありましたか?
1人で子育てをしていた頃は本当に大変でしたが、今は支援者の方がついていてくれるので、気持ちがだいぶ楽です。
私は以前、介護施設で働いていたことがあるのですが、介護は1対1では大変だけど、みんなでやるとそれほど大変ではないこともあるんですよね。何かあっても、仲間と話すことで気が晴れるし「こうすればいいんじゃない?」とか対策もみんなで考えられるので。
子育ても同じで、一緒に子どもを見てくれる人たちがいると、精神的な負担が全然ちがいます。みんなで子どもを見ていると「この子はこういうところがあるよね」「こうしてみたらどう?」など、私1人ではわからないことも教えてもらえるし、子どもにとっても、ママ1人より、いろんな人が見てくれるほうが良いんじゃないかなと思います。
周囲のママをみても、無理をしないで、上手に人の手を借りながら子育てをしている人は、うまく回っている気がします。
子育てで心がけていることはありますか?
まだまだ、できていないことが多いですが、心がけているのは、周囲の子どもと比べるのでなく、去年の子どもと比べることです。
定型の子どもと比べたら遅れているけれど、去年の子どもと比べたら、できることが確実に増えているんですよね。環境によっては、できたことができなくなるケースもありますが、そういうことがなければ、どんな子でも去年よりは成長しています。
子どもができるようになったことに目を向けるようにすると、ママのイライラが減るし、子どもを褒めてあげる機会も増えるんじゃないかなと思います。
子どもの困った行動に、どのように対応していますか?
子どもの癇癪には理由があるので、行動や様子から原因を見つけて、対処するようにしています。私が気づくこともあれば、支援者の方が「泣いているのはこれが原因じゃないかな」と教えてくれることもあります。「これだったんだ!」とわかった時は、推理小説の謎が解けたみたいでうれしいですよ(笑)。
長男の場合は、自分で対処できるようにもなってきました。たとえば、長男は公衆トイレに行くといつも大泣きしていましたが、大きくなってくると公衆トイレで耳をふさぐようになり、ある時、自分から「この音がダメだから使わない」と言ってきて。公衆トイレに備え付けてあるハンドドライの音が苦手だったんですね。
長男が2歳くらいの時は毎日本当に大変で「この先どうなるんだろう」と不安でしたが、成長するにつれて解決できることも増えていくので、子育てはだんだん楽になっていくなと感じています。
モンズースーさんも発達障害。子育てで困ったことはありますか?
忘れ物が多くて、子どもの持ち物や、親がしなければならないこととか、結構忘れてしまいます。あとは、これも発達障害の特徴のひとつですが、自分の好きなことや興味のあることに集中しすぎて、気が付くと子どもを放っておいてしまった、ということもありがちです。
といって、好きなことを我慢しすぎるのもイライラの原因なので、うまくバランスをとれるようになりたいなと思っています。
子どものこれからについて、どのようにお考えでしょうか?
目標は、この子たちなりの自立ができることかなと思っています。
全部を自分でできなくても、必要なところは人の手を借りながら生活を成り立たせることも、自立のひとつだと思うんです。子どもたちには自分にできること、できないことを理解し、できないことは人に頼って解決する術を学んでいってほしいなと思っています。
わが子が発達障害ではないママも、発達障害の子どもに接する機会は少なくないと思います。こういう子もいるんだなと、ちょっとでも知っておいてもらえたら嬉しいです。(おしまい)
こまっているママにおすすめ
読めば「私だけじゃない」と思える本
「生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした」
著/モンズースー 発行/株式会社KADOKAWA