子どものボディケア、どこまでやる?
嫌がったり寝てしまったり… お風呂は毎日でなくて大丈夫
お風呂やスキンケア、耳掃除…。子どものためにやってあげたいケアはたくさんありますが、親にだって都合もあれば、疲れてしまうことだってあって当然です。毎日のことなので、全部がパーフェクトにできなくても大丈夫。小児科医のための教科書を読んでも、「ここまでやりましょう」というボディケアの明確な基準はないのです。ある程度までできれば、「それでよし」としてくださいね。
面倒くさがって、お風呂を嫌がる子どもは多くいます。お母さんやお父さんが疲れていたり、お風呂の前に寝てしまったりして、お風呂に入れられないこともあるでしょう。罪悪感を持たなくてもいいんです。1日や2日、お風呂に入らなくても、どうということはありません。そもそも毎日お風呂に入らない国も多くありますよね。
ただし、オムツかぶれやあせも、アトピー性皮膚炎などがある場合には、医師の指導通り、できるだけ毎日お風呂に入れましょう。また、汗を多くかく季節には、予防のためにも、シャワーだけでも浴びられるといいですね。
お風呂上がりのスキンケアは アレルギー予防の効果も
では、お風呂上がりのスキンケアについては、どうでしょうか。小さな子どもの肌は、ツヤツヤふっくらとしていて、スキンケアなんて必要なさそうに見えますが、実は、皮脂量は20代女性の半分以下。皮膚自体も薄く、保湿・保護の必要があります。
皮膚の乾燥は、バリア機能の低下を招き、アレルギー発症の原因となるため、保湿をしてあげることは、子どものアレルギー予防にもなるのです。
保湿には、お風呂での洗い方も重要です。石けんやボディソープは必ず泡立て、スポンジなどでなく手の指の腹を使って洗い、しっかり洗い流しましょう。
スキンケアには、ワセリンのような保護剤と、ヘパリン類似物質などの保湿剤の両方がありますが、どちらでも大丈夫。
乾燥がひどいなら、小児科や皮膚科で保湿剤を処方してもらうこともできますが、症状が乾燥だけなら、市販のもので問題ありません。また、子ども用と大人用にもほとんど違いはないので、共用して構いません。
普段の耳掃除はする必要なし 水滴を拭くくらいでOK
「本当はしなくていい」という説を聞いたり、「いや、した方がいい」と話もあったりして、判断に迷うケアといえば、耳掃除。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のウェブサイトにある「子どものみみ・はな・のどの病気 Q&A」には、「多少の耳垢なら、家庭で無理に取る必要はまったくない」と書かれています。生活をしていると、体の動きで耳垢は自然に排泄されるので、お風呂の後に濡れた耳を軽く拭うくらいで十分です。
綿棒や耳かきによる耳掃除は、人や家具にぶつかって鼓膜をケガしてしまうことがあるので、気をつけてください。また、私のクリニックにも、耳の穴の形に固まった耳垢の痛みで受診した中学生がいましたが、自分で綿棒を使って耳掃除をしていたそう。耳垢をかえって奥に押し込んでいたんですね。
それでも耳垢が詰まっていないか気になるようなら、懐中電灯などで照らして、子どもの耳を覗いてみてください。もし耳の穴が塞がるくらい耳垢があったら、耳鼻科か小児科に行きましょう。専用の器具を使って取ってくれますよ。