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子どもが薬を飲みません【コドモカルテ】

子どもが薬を飲みません

坐薬・シロップ・粉薬・錠剤… 飲めそうな形を希望してOK

自分が子どもだった頃を振り返っても「薬を飲むのが好きだった」という人は少ないでしょう。それなのに、自分が子育てする側に回ると「もう、なんで飲んでくれないの!」と言いたくなります。薬は飲ませるだけで大変ですよね。

子どもの薬は、体重(kg)あたりの1日量(g・ml)を計算した上で処方されることがほとんどです。小児科で、頻繁に体重を確認されるのはそのためです。不明な場合はその場で計ります。こうして、体重をもとに割り出した薬の1日量を、1日2~3回に分けて飲みます。

でも、小さい子には薬を飲む理由がわかりません。赤ちゃんは特に苦労します。吐き出してどうしても無理なときは、お尻から坐薬で入れることも。体重や年齢、薬の種類によっては、坐薬やシロップ、粉薬や錠剤など剤形が選べるので、医師が処方箋を出す前にぜひ希望を伝えてくださいね。

また、ドラッグストアなどでは、ゼリー状のオブラートが市販されています。薬の成分に影響がないよう工夫されたものなので、積極的に利用していいでしょう。そのほか、「薬を少しの水で溶いて口の中に塗り、水を飲ませる方法」や「シロップをスプーンやスポイトで口に入れる方法」もあります。冷たくて甘いものに混ぜると味が分かりにくくなるので、アイスクリームに混ぜたり、ヨーグルトやゼリー、ジャムに入れる、という話も聞きます。

とはいえ、「さまざまな方法は既に試したけれど、やっぱり飲んでくれなかった」という方もいますよね。私も、長女が幼かった頃は、薬を与えても「飲めない」と泣かれ、こっちが泣きたい気分になったことを覚えています。何とか薬を飲んでもらいたいのは、医師も同じです。「どうしても薬を嫌がる」場合には、遠慮せず、ぜひ医師や薬剤師に相談してください。方法を一緒に考えましょう。

「1日2回に」「1日3回に」 園から薬について言われたら

保育園や幼稚園から、薬について指示がある場合もあります。

「投薬はしない」と決めている園の場合、1日3回の薬を処方されても、日中の分を飲ませられません。そんな場合は、診察時に「1日2回にしてください」と言ってください。または、1日3回の薬は通常4~6時間あければ大丈夫なので、「朝・帰宅後すぐ・寝る前」なら3回飲めるでしょう。

反対に、1日2回の薬を処方されたのに、園から「1日3回飲ませた方がいいから、昼の分をもらってください」と言われることもあります。どんな薬でも、2回を3回にしたり、量を増やしたからといって効くわけではありません。でも、園からは「薬を増やして」と言われ、小児科では「増やしても意味がない」と言われたら、保護者は板挟みで困ってしまいますね。

園から「検査をしてもらって」「薬をもらってきて」と言われて来院された場合、私はまず診察します。その上で、検査や薬の必要がないと判断すると、保護者の方に説明します。「納得したけれど、要注意の保護者と思われないか怖くて、自分で園に言えない」という場合には、私から園に電話することもあります。子どもの治療方針を決めるのは、園ではありません。本来は、保護者が必要だと思う時に受診し、医師が必要だと判断した場合にのみ検査・投薬を受けるのです。検査や薬を要求するような園があったら、園長や医師に相談するのがいいでしょう。

森戸 やすみさん

小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、現在は東京都内で 開業準備中。著書は「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」等多数。

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