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5~11歳の新型コロナワクチン開始【コドモカルテ】

5~11歳の新型コロナワクチン開始

5~11歳もワクチンを 接種した方がいい理由

5~11歳の新型コロナワクチン接種が始まりました。4月1日現在流行しているオミクロン株は軽症であることが多く、もともと子どもは重症化しにくいこともあって、接種に慎重な方も多いようです。ただ、私はできれば子どもも接種した方がいいと考えています。

まず、子どもも重症化しないとは言い切れません。日本で新型コロナウイルスに感染した10歳未満のほとんどは軽症ですが、一部は重症化し、最悪は命を失うこともあります。実際京都では基礎疾患のない未就学児が亡くなりました。また、オミクロン株は比較的軽症ですが、今後重症化しやすい変異株が出てくる可能性は高いでしょう。

ほかにも、全身の臓器に炎症が起こる「小児COVIDー19関連多系統炎症性症候群」という合併症が起こったり、味覚や嗅覚の異常、倦怠感などの後遺症が残ることがあります。

もし感染した場合、自宅待機になるデメリットもあります。子どもが感染した場合も、本人は「10日間自宅待機」、その家族は「陽性者である子どもに接した時から7日間自宅待機」となります。子どもは教育や行事に参加できず、親は仕事に行けないことになります。

そして、新型コロナウイルスの流行が広がれば、亡くなる人も増え、医療が逼迫すれば、別の病気の治療にも影響が出ます。感染が増えれば変異株も生まれやすくなりますし、経済活動や行事も自粛になります。接種には「流行を抑えること」自体の意味もあるのです。

ワクチンの長期的影響よりも 感染の長期的影響の方がリスク

とはいえ、「ワクチンの効果や長期的影響、副反応が気になる」という保護者も多いでしょう。

効果については、オミクロン株流行前のデータではありますが、発症予防効果は90%で十分に高いといえます。子ども用のワクチンは総量も抗原量も少ないので、実際の効果はもう少し落ちるかもしれませんが、接種しても意味がないわけではありません。当然、重症化を防ぐ効果も期待できます。

長期的影響ですが、mRNAワクチンはウイルスの情報を体に伝えて抗体をつくらせる仕組みで、ワクチンそのものは分解されるため、成分が体内に高濃度で残って悪影響を与えることは考えにくいでしょう。長期的影響といえば、新型コロナウイルスに感染した場合の後遺症などもわかっていないことが多く、ワクチンの長期的影響よりもリスクが高いと考えられます。

副反応については、既にアメリカなどでたくさんの子どもたちが接種を済ませ、大人の副反応よりも軽いことがわかっています。10~20代の男性で心配される心筋炎も、5~11歳ではリスクがより低く、アメリカでは約870万回接種したうち11人が発症していますが、全員が経過観察で治っています。ただ、念のため接種後1週間は胸の痛みに注意し、痛みがあれば小児科を受診してください。

もちろん接種をするかどうかは各家庭で検討されるといいでしょう。しかし、「子どもは重症化しない」「子どもにワクチンは効果がない」など誤情報で判断するのではなく、正確な情報をもとに、ぜひ考えてみてくださいね。

森戸 やすみさん

小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、現在は東京都内で 開業準備中。著書は「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」等多数。

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