子育てしながら働くのって、シンドイ、大変そう…。この先には何があるの…?
そんなママへ、少しだけ先を歩く、隣りの働きママからのメッセージ「ママの履歴書」。
今回は、「未経験の農業で起業」という道を選んだ亜美ママの履歴書の後編をお届けします。
【前編はこちら】
「蜂が怖いからトマトは無理」妊娠中に未経験から農業法人経営を決断した20代ママ【ママの履歴書】前編
亜美ママ
Ami Mama
3歳の女の子のママ。大阪府出身。出身大学、勤務していた化粧品会社の所在地が大分県。大分県でリーフレタスを栽培する農業生産法人「ウーマンメイク株式会社」の社長を務める。シングルマザー。
ベビーカーを押して、ビニールハウスを建てるための補助金申請へ
「リーフレタスでいこう」とは決まったものの、いきなりリーフレタス栽培に取りかかれたわけではありません。リーフレタスに取り組むには、大きなビニールハウスの設置が必要です。
そこで、自治体からの補助金を受けることにしました。娘を出産した後、生後間もない娘を連れ、ベビーカーを押して市役所に補助金の申請に行きました。無事に申請は受け付けられたものの、実績もない新規参入者に補助金はすぐには下りません。
だから、まずは自宅近くの小さなハウスを借りて、スナップエンドウ栽培から始めました。娘は生後4ヵ月から保育園に入れ、保育園以外の時間は大阪から大分まで来てもらった両親に預けて、朝から晩までハウスで作業。
そんな生活を続けて1年後、待ちに待った補助金申請が通過。いよいよ本格的にリーフレタス栽培に進出することになりました。
「女性だけでつくる農業」、スタート!
本格的なリーフレタス栽培には、多くの人手が必要です。ハローワークを通じて求人を出すと、いくつか応募がありました。全員、女性。女性だけで運営する、農業法人のスタートでした。
最初に応募してくれた女性は、4児の母で、とても頼りになる人。そこで、正社員になってもらい、今では役員として私の右腕になり、がんばってくれています。同じ働く母として分かり合えることも、とてもうれしいですね。現在は役員3名、社員1名、パート12名の16名でがんばっています。
私が目指すのは「女性が働きやすい農業法人」。だから、それぞれの事情に合わせて、「9:00~12:00」「9:00~15:00」などさまざまな勤務時間のスタッフがいます。
周囲は人口の多い地域ではなく、人手集めに苦労したこともあります。でも、「小売店では日曜に休みにくいからありがたい」「子どもの熱や参観日で休めるのがうれしい」と言って働いてくれる2児の母親など、働き方を柔軟にしたことで、応募してくれる子育て中のスタッフも増えてきました。
私たちは、販路開拓も自分でやるし、野菜のパッケージデザインも手がけています。営業や商品企画など、「農業法人」とはいっても、実際には普通の企業と仕事内容は変わらないんです。今後の夢は、大卒者の就職先にも選ばれる農業をつくっていくことですね。
同じ思いを持つ人はきっといる。この農園を女性の夢が広がる場所に
起業して3年、子育てでは今も周りに頼りっぱなし。保育園が休みの日は、娘を事務所に連れてきて事務所で見ていてもらうこともよくあるし、出張の際は両親が大阪から来てくれます。
でも、そんな私の姿を見ている娘は、「ママのレタスおいしい」と言ってくれて、箱を運ぶなどのお手伝いをしてくれることも。今は、「大きくなったら保育園をやめてレタスを手伝う」と言っています(笑)。
私は経営も農業も初めての経験。実家も農業とは関係ないので、「台風や病気で一気にダメになってしまうこともある」などの農業の怖さも大変さも知りませんでした。だからこそ飛び込めたのかもしれません。
起業前は「農業初心者の女性にできるのか?」と行政や金融機関などでも心配されたけど、何度も思いを伝えるうちに応援してくれる人が増えてきました。応援してくれる人、同じ思いを持つ人は必ずいます。諦めずに思いを伝え続けることを忘れず、この農園を女性の夢が広がる場所にしていきたいですね。