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子どもに算数を教えるときは自分の苦手なことを思い出して【きかせて、子そだて】

そろそろ春。「子どもが小学校入学」という保護者もいるでしょう。入学すると始まる、学校の勉強ですが、「実は自分も不得意で…」と苦手意識を持つ人も多い、算数。自分も苦手なのにどうやって教えたら?算数・数学が苦手な人のための本を書いた、三児の母、とけいまわりさんにお話を聞きました。

算数・数学の先生でも我が子に教えると喧嘩になる

そもそも算数や数学を親が子どもに教えるのは、とてもハードルが高いことなのです。たとえば、小学1~2年生の算数で習う「時計の読み方」。親にとっては「12時の次は1時」なのですが、まだ足し算や引き算を習いたての子どもたちにとって、「12の次が1とは何事だ?」状態です。さらに、「1時は13時ともいう」 「長い針が“3”に来たらなぜか“15分”と読む」など、わからないことがたたみかけてきます。この親子の経験のギャップが、親に「どうしてわからないの?」という気持ちを芽生えさせ、「問題文をもっとよく見てね」というふわっとしたアドバイスにより軋轢を生み、子どもとの間に壁をつくってしまいます。

そんなときは、自分自身がとても苦手だったことを思い出して、 子どもの気持ちに寄り添ってあげてください。私は、運動音痴というコンプレックスを解消したくて、30代でテニスを習いに行ったんですが、コーチに「ラケットを持つ右手はこう!」と指導され、右手に集中していると、「ひじはこう!」と指示が追加され、今度はひじに集中したら 「いや、右手はこうでしょ!」と追い討ちをかけられてパニックになり、その日のうちに退会した苦い記憶があります。ですので、「なぜわからないの?」という気持ちになったときには、「テニスを思い出せ!」と自分を戒めています。

私は25年以上数学を教えてきて、勉強が得意な子も苦手な子も幅広く指導してきました。そして、そんな私が我が子にはどのように教えるかといえば、それはもう、もちろん毎回大喧嘩ですよ。 仕事で教えるのと、我が子に教えるのでは別世界でした。これではいけないと、結局我が子の数学は塾の先生にお任せすることに。

でもね、まだ日本史を教えるときはマシでしたね。歴史だと「どうしてここで源頼朝が出てくるの!」みたいな喧嘩は起こらないので。数学を教えると喧嘩になってしまうのは不思議ですね。

とはいえ、「親が数学を教えると喧嘩になります」では救いがないので、試してみて良かった方法をお伝えします。子どもから質問を受けたとき、自分で説明できそうでも、わかりやすい動画やサイトを一緒に見ながら説明すると喧嘩になりにくかったです。子どもが理解できなくても、「このサイトの説明はちょっと難しいね」と次のサイトへ行けるので。親子の間にワンクッションを挟めると、直接のバトルを避けられました。

わからない問題はひとまず保留して先へ進んでもいい

そうはいっても、「自分自身がもともと算数・数学が苦手で…」という保護者の方もいらっしゃるでしょう。でも、算数や数学は、さまざまな単元が点と点でつながって、線になるような科目です。なので、日々の買い物や仕事で数字を扱ううちに経験を積み、「子どもの頃はわからなかったけど、大人になったら理解できる」 が結構発生します。それは、これから算数・数学を学ぶ子どもも一緒です。だから、「今、この問題が解けない!」があっても、 ひとまず保留して先に進んでみてもいいと思います。「数学は積み重ねの科目」とよく言われますが、この言葉が「この問題が解けないと、 この先の問題も解けない…!」という呪縛になってしまってはいけません。

逆に、「積み重ねの科目」だからこそ、後から下の学年に戻って、 行ったり来たりしながら勉強してもいいのです。「急がば下りろ」ですね。まずは子どもに、 「算数や数学が怖い」という恐怖心を植えつけないようにすることが一番大切かと思います。

 

おい点P、動くんじゃねえ!――ニガテ民のための算数と数学の本

「昔から苦手なのに、子どもに算数を教えなきゃいけない…」そんな人のための本。算数・数学に物申したい、ちょっとヤンチャな「ケンジ」と数学好きの「兄貴」との会話を読むうちに、「そうだったのか!」と算数・数学のあれこれに合点がいきます。とにかく「ケンジ」が食い下がるので、通り一遍の説明では納得できない人にも。とけいまわり著、晶文社。

とけいまわりさん

算数・数学の講師。単位制通信制高校などで数学を教えて25年のキャリアを持ち、数学が苦手な生徒たちに教えた経験も豊富。現在中学生・高校生の三姉妹の母。
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