
早く寝てほしいのはやまやまだけど…
だいたいの保護者は、「子どもが早く寝てくれるといいな」と願っていることでしょう。
子どもの体調を整えるためにも、生活リズムは規則正しくしたいところですし、子どもがすんなりと眠ってくれれば、親が家事や趣味、自分の睡眠にあてる時間も確保できます。
そうはいっても、「子どもを早く寝かせること」は、いつでもうまくいくとは限りません。
保護者自身も、決まった勤務時間や残業など、仕事で遅くなることも多いでしょうし、買い物や用事などやむにやまれない事情で帰宅が遅れることもあります。
「21時には寝かせたい」と思っていても、18時に勤務を終え、19時に保育園へ迎えに行き、買い物をして帰り、料理をつくって夕食を食べさせ、お風呂に入れて、歯磨きをして、寝かしつけたら、きっと21時を過ぎてしまうでしょう。
しかも、子どもが「まだ帰りたくない」「食べたくない」「お風呂に入りたくない」「寝たくない」などと言い出すこともよくあります。そうしたら、さらに寝る時間は遅くなってしまいますね。
勤務時間を自由に変えることは難しいですし、子どもだって大人の思い通りには動きません。ですから、それぞれの家庭の事情に合わせて、できる範囲で生活リズムを整えていきましょう。
19時台のニュージーランドから見れば、日本の21時は「遅寝」
生活リズムは、文化による習慣に影響されるので、「この時間に寝るのが適正」といった答えを出すことは難しくなっています。
たとえば、世界17カ国で行われた調査によると、一番「早寝」だったのはニュージーランドの子どもで、平均就床時刻は19時28分でした。対して、一番「遅寝」なのは香港の子どもで、22時17分。3時間近くも差があります。日本は、といえば21時17分でした(※1)。
ちなみに、夜間の総睡眠時間は日本の子どもが最も短く、11時間37分。最も長いのは、ニュージーランドで13時間18分でした。
ですから、日本に住んでいる人が「子どもは21時に寝る」と言ったら、ニュージーランドの人から見れば「遅いね」と思われるでしょうし、香港の人には「早いね」と言われるでしょう。だからといって、香港の子どもに問題が多いということもなさそうです。
それぞれの家庭で無理のない範囲で、生活リズムを整えよう
睡眠リズムについては、4~6歳の睡眠習慣と行動について調べた研究もあります。「21時以降に外出することが週2回以上ある」「布団に入るのが23時以降になることが週4日以上ある」「外出先からの帰宅が21時以降になることが週3日以上ある」のうち、ひとつ以上にあてはまる子は、そうでない子に比べて、問題行動が多い、という結果でした。また、「睡眠時間の長さは結果に影響がない」「遅寝遅起きで生活リズムが不規則であることは問題行動につながる」「寝る時間が早く規則正しいほど問題行動が少ない」という結果も出ました(※2)。
やはり生活リズムは可能な範囲で整えたほうが良さそうです。
ときには、遅くなったり早くなったりする日もあると思いますが、たまになら問題ないでしょう。少し遅めであったとしても、だいたい毎日、できるだけ同じ時間に夕食をとり、お風呂に入って寝られるよう、無理のない範囲で規則正しい生活を送りましょう。
※1 Mindell et al. Sleep Med 2010 Mar;11(3):p274-280
※2 神山潤『日本小児科学会雑誌』vol.115.no12 2011 p1870-1879



